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BLOG 悩み解決 2026.09.02 READ 15 MIN

カフェインはゲームに効くが、量を3倍にしても差はなかった

こんにちは、GAME STEP編集部です。

ランク戦の前にエナジードリンクを1本開ける、コーヒーを濃いめに淹れる。カフェインを入れておくと集中できる気がする、という感覚を持っている方は多いと思います。

ただ、どれくらい入れれば効くのかを教わったことのある方は、あまりいないと思います。2024年に、その量そのものを変えて成績を測った試験があります。

多く入れたほうがよく効く、という予想とは違う結果でした。

平日の夜、限られた時間でランクを回す前に、とりあえずエナジードリンクを1本。
週末のスクリムの前には、いつもより濃いめのコーヒー。

カフェインを入れておけば、反応が良くなって集中も続く。ゲームの世界ではかなり広く共有されている感覚だと思います。

そして、この感覚には続きがあります。足りない気がしたら、量を増やす。
1本で足りなければ2本。カフェイン錠剤を足す人もいます。増やしたぶん、効きも強くなっているのでしょうか。

2024年に、この「増やせば効くのか」を実際に確かめた研究チームがいます。FPSプレイヤー24名に、体重1kgあたり1mgと3mgという3倍差の量を飲んでもらい、エイム練習ソフトの成績と反応時間を測りました。

先に答えを書いておくと、少ないほうの量でも水より成績は良くなり、3倍にしても統計的に有意な差(偶然だけでは説明しにくい差のこと)は出ませんでした。

カフェインの使い方は、だいたいこのあたりに落ち着いていくと思います。

  • 大事な試合の前ほど、いつもより多めにカフェインを入れてしまう
  • エナジードリンクを飲んだ直後に「効いている」と感じてすぐランクに入る
  • 深夜に飲んだせいで、勝ってもなかなか眠れない
  • 効いている実感が薄れてきたので、少しずつ量が増えている

この研究では何を調べたのか

今回紹介するのは、オーストラリアのクイーンズランド工科大学を中心とした研究チームが2024年に発表し、スポーツ科学の専門誌 Frontiers in Sports and Active Living に掲載された試験です。

これまでにも、FPSのエイム練習ソフトを使ってカフェインの効果を調べた研究はいくつかありました。ただ、著者らによれば、量を変えて比べた研究はこれが初めてです。少ない量でも同じだけ効くのなら、わざわざ多く摂る理由が減ることになります。

参加したのは、マウスとキーボードでFPSをプレイし、現在ランクマッチを回している24名です。内訳はValorantが8名、CS:GOが7名、Overwatchが7名、Counter-Strike 2が5名、Apex Legendsが2名、Halo Infiniteが2名、Paladinsが1名でした(複数タイトルをプレイしている人を含みます)。全員が普段からカフェインを摂る人で、自己申告の平均は1日209mgです。

一人ひとりが、次の3つの条件をすべて体験します。

  1. 水だけ(250ml・カプセルなし)
  2. 体重1kgあたり1mgのカフェイン(実際の量は平均83mg)
  3. 体重1kgあたり3mgのカフェイン(実際の量は平均250mg)

条件の順番は人ごとに入れ替えられ、それぞれの日は2〜4日空けて行われました。同じ人の中で3条件を比べる形なので、もともとのエイムの上手さが結果に混ざりにくくなっています。

測定に使われたのは、FPSプレイヤーにはおなじみのエイム練習ソフト KovaaK’s の2種類の課題と、反応時間を測るテストです。

  • 静止標的クリック: 画面に6個の的が出続け、60秒間できるだけ速く正確に撃つ
  • 追従(トラッキング): 不規則に動き回る的の上に、60秒間できるだけ長く照準を乗せ続ける
  • PVT: ランダムな間隔で出る合図に、できるだけ速くスペースキーで反応する

PVT(サイコモーター・ビジランス・テスト)とは、注意が続いているかどうかを測るための、単純な反応時間テストのことです。眠気や疲労の研究で長く使われてきた道具で、練習して上手くなる性質のものではないため、繰り返し測っても慣れによる影響が出にくいという特徴があります。

測定は1日に4回。飲む前に1回、飲んだあと60分・80分・100分の時点で1回ずつ行われました。効いている時間帯まで見られるようになっています。

研究で分かったこと

少ないほうの量でも、水より成績は良くなった

まず、量の違いを脇に置いて「カフェインを入れたかどうか」で見た結果です。

静止標的クリックのスコアは、水だけのとき117.8だったのに対し、1mgで120.8、3mgで121.5でした。どちらも統計的に有意な差です。

統計的に有意とは、偶然だけでは説明しにくい差が出た、ということを表す言い方です。逆に「有意な差はなかった」は「差がないと確かめられた」という意味ではなく、「今回のデータでは差があるとは言い切れなかった」という意味になります。

追従課題では、的の上に照準が乗っていた時間の割合が、水で35.7%、1mgで36.9%、3mgで37.8%でした。

反応時間はもっと分かりやすく出ています。水のときは平均290.8ミリ秒、1mgで279.8ミリ秒、3mgで273.0ミリ秒。1mgでも約11ミリ秒、3mgでは約18ミリ秒速くなっていました。

本人の感じ方も同じ傾向でした。両方の量とも、水と比べて「目が覚めている感じ」が強く、「眠い感じ」が弱くなっています。

1kgあたり1mgは、体重83kgの参加者で平均83mgです。日本の食品成分表でいえば、インスタントコーヒー1杯(80mg)とほぼ同じ量になります。その量でも、水だけの状態との差は統計的に確認されました。

量を3倍にしても、統計的な差は出なかった

1mgと3mgを直接比べたとき、すべての成績指標で、2つの量の間に統計的に有意な差は確認されませんでした。 本人が感じる目覚め度と眠気についても、量による違いは統計的に確認されていません。

ただ、著者らはここで話を終わらせていません。追従課題の精度とPVTの反応時間では、3mgのほうがわずかに良い数字が出ており、統計的な差にはならないものの「多いほうで大きく改善する傾向」がうかがえると書いています。プロの世界では紙一重の差が結果を分けることもあるため、3mgを選ぶことも検討してよい、というのが著者らの立場です。

時間帯ごとに見ると、この違いは少しはっきりします。3mgのときは、60分後・80分後・100分後のすべての時点で水より良い状態が続きました。1mgのときは、時点によって差が出たり出なかったりしています。著者らはこれを「3mgのほうが、効果がより長く安定して続く可能性がある」と表現しました。とはいえ、どの時点で比べても、2つの量の間の差そのものは統計的に有意ではありません。

この試験から言えるのは「3倍にしたぶんの上乗せは、数字の上では確認できなかった」ということです。「多くても意味がない」でも「多いほうが確実に良い」でもありません。

上がったのは正確さではなく、速さ

静止標的クリックの命中率(%)は、3条件でほとんど変わりませんでした(水88.3、1mg88.9、3mg88.8で、統計的に有意な差なし)。撃った弾数についても、統計的に有意な差は確認されていません。

変わったのは、1秒あたりの命中数です。水で2.23発だったものが、1mgで2.28発、3mgで2.29発になりました。60秒に直すと、134発が137発になった計算です。

つまりスコアが伸びたのは、当たる割合が上がったからではなく、同じ精度のまま手数が増えたからでした。著者らは、この背景としてカフェインで運動の速さが上がることを挙げています。

カフェインを入れても、外していた弾が当たるようになるわけではありませんでした。同じ当て方のまま、少し速く動けるようになった、という結果です。

効いていた時間帯は、飲んでから1時間後

4つの指標すべてで水との差が揃ったのは、飲んでから60〜75分後の時点でした。著者らは「カフェインが最も効くのは摂取後60〜75分」とまとめています。

この時間差には理由があります。カフェインは飲んですぐ血中の濃度が上がるわけではなく、ピークに達するまでにおよそ60分かかるとされています(個人差は15〜120分)。半減期は通常3〜5時間で、体の中に残る時間はかなり長めです。

飲んだ直後に感じる「効いてきた」という実感と、数字の上で成績が上がる時間帯は、必ずしも一致していませんでした。

eスポーツプレイヤーにとって何を意味するのか

この結果からは、カフェインの量について考える順番が変わってきます。

多くのプレイヤーが持っている「効きが足りないなら増やす」という発想は、少なくともこの試験の範囲では裏付けられませんでした。1kgあたり1mgという、コーヒー1杯程度の量ですでに差が出ており、そこから3倍にしても数字は追いついてきていません。

一方で、著者らは増量を否定してもいません。傾向としては多いほうが良く、効果が長持ちする可能性も示唆されています。ここは「どちらとも言い切れない」というのが正確なところだと思います。

増やすかどうかは、何を見て決めればよいのでしょうか。この試験の範囲でいえば、判断の分かれ目になるのは効果の大きさではなく、副作用と睡眠への影響のほうだと考えられます。

改善の中身についても、読み方に注意が必要です。今回上がったのは手数と反応の速さであって、狙いの正確さではありませんでした。エイムが合っていない原因が照準の合わせ方や立ち回りにあるなら、カフェインを増やしても埋まらない部分が残ります。

追従課題が良くなった理由については、著者ら自身も推測にとどめています。警戒・注意・反応時間といった働きが関わっており、これらはカフェインで改善することが知られている、という説明です。反応時間への効果についても、体を動かす側ではなく注意の側が速くなることで説明されるのではないか、と別の研究を引きながら述べています。

そして著者らは、この試験で使われた課題そのものについても釘を刺しています。KovaaK’sの射撃課題は、実際のFPSの試合で求められるものとはかなり違う、という断り書きです。この試験の結果は、あくまでその道具の上での話として読む必要があります。

なお、コンディションと成績の関係については、以前本ブログで紹介した寝不足とゲームの成績を調べた研究の記事でも、反応の速さは落ちるのに対戦成績には統計的に有意な悪化が出ない、という結果を扱いました。反応の速さは測りやすい一方で、試合の結果とは直結しないことがあります。カフェインの結果も、同じ距離感で見ておくとよさそうです。

実際のプレイ環境にどう取り入れるか

試験ではカプセルに入った無水カフェインが使われているため、そのままの量を飲み物に置き換えることはできません。目安として、日本の公的な資料に載っている濃度を並べておきます。

飲み物カフェイン量
コーヒー(浸出液)100mlあたり60mg
インスタントコーヒー1杯(粉2g)で80mg
紅茶(浸出液)100mlあたり30mg
玉露(浸出液)100mlあたり160mg
エナジードリンク100mlあたり28〜300mg

出典は農林水産省「カフェインの過剰摂取について」で、飲料の数値は日本食品標準成分表2020年版(八訂)、エナジードリンクは市販12製品の成分表示を同省が調べたものです。エナジードリンクの幅が10倍以上あることは、押さえておいたほうがよいと思います。

上限についても書いておきます。EFSA(欧州食品安全機関)とカナダ保健省は、健康な成人で1日400mgまでという目安を示しています。妊婦の場合はEFSAが200mg、WHOとカナダ保健省が300mgです。日本には、明確な基準や具体的な摂取量の目安は示されていません。 過剰に摂取した場合には、めまい・心拍数の増加・不安・震え・不眠、消化管の刺激による下痢や吐き気が起こるとされています。

ここから先は、研究で直接検証されたものではなく、GAME STEP編集部が実践の一例として提案するものです。効き方には個人差があります。体質や持病、服用中の薬によっては当てはまらない場合がありますので、心配な方は医療機関にご相談ください。

1. 飲む時刻を、ランクの開始時刻から逆算する方法があります

試験で水との差が最も揃っていたのは60〜75分後でした。「ランクに入る直前に開ける」より、「1時間前に飲んでおいて、その間はウォームアップや復習に充てる」という順番にすると、効いている時間帯と大事な試合を重ねやすくなると考えます。

2. 体重1kgあたり1mgから試す方法があります

体重60kgならおよそ60mg、70kgなら70mg、80kgなら80mgです。コーヒーに置き換えると、60kgの方で浸出液100ml、インスタントなら1杯ぶんにあたります。今の量がこれより多い方は、一度減らしてみて、成績の感覚が落ちるかどうかを見てみる方法があります。

3. 増やすかどうかは、効きより先に副作用で判断する方法があります

この試験では量による差は確認されていません。一方で、不安感や胃腸の不調は多い量や普段カフェインを摂らない人で出やすいとされています。増やす理由が「なんとなく足りない気がする」だけなら、先に睡眠と食事を見直すほうが順番として自然だと考えます。

4. 夜のランクでは、就寝時刻から引き算する方法があります

カフェインの半減期は通常3〜5時間です。深夜1時に寝るつもりなら、夕方以降の1本が寝つきに影響する可能性があります。「勝ってから眠れない」が続いている方は、飲む量よりも飲む時刻を先に動かしてみる方法があります。

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この研究から分かること

  • 静止標的クリックのスコアは、水117.8に対し1mgで120.8、3mgで121.5。どちらも水より統計的に有意に高い
  • 追従課題で照準が的に乗っていた割合は、水35.7%に対し1mgで36.9%、3mgで37.8%
  • 反応時間は、水290.8ミリ秒に対し1mgで279.8ミリ秒、3mgで273.0ミリ秒
  • 静止標的の命中率(水88.3・1mg88.9・3mg88.8)と撃った弾数には、統計的に有意な差なし
  • 1秒あたりの命中数は、水2.23発に対し1mgで2.28発、3mgで2.29発
  • すべての成績指標で、1mgと3mgの間に統計的に有意な差は確認されなかった
  • 4つの指標すべてで水との差が確認されたのは、飲んでから60〜75分後の時点

この研究だけでは分からないこと

著者らは6つの限界を挙げています。

  • 前夜からのカフェイン断ちは自己申告に頼っており、本当に守られていたかまでは確認できない
  • KovaaK’sの課題は実際の試合とは要求が違うため、そのままFPSの試合や他ジャンルのeスポーツに当てはめられるかは分からない
  • 全員が同じだけ恩恵を受けるとは限らず、個人差の検討は今後の課題として残されている
  • 女性の参加者が2名しかいないため、性差の比較ができない
  • カフェインへの期待が生む効果は、この試験では測っていない
  • 投与がカプセルのため、コーヒーやエナジードリンクで同じ結果になるかは分からない

著者らが挙げていないところで、編集部として補っておきたいことが4つあります。

「量による差がなかった」は「量は関係ない」ではありません。 この試験に必要な人数24名は、カフェインと比較条件の差を見つけるための計算で決められています。量どうしのより小さい差を見つけられる設計にはなっていません。この研究からは、1mgと3mgが同等だとまでは言えません。

比較の相手は「水だけ」で、カプセルも入っていません。 つまり参加者は、自分がカフェインを飲んだかどうかを飲んだ時点で分かってしまいます。著者らも、カフェインへの期待が生む効果は測っていないと書いています。効果の一部が「効くと思って飲んだこと」から来ている可能性は、この設計では切り分けられません。

普段どおり飲んでいる状態との比較ではありません。 参加者は日常的にカフェインを摂る人(平均1日209mg)で、前夜18時以降はカフェインを断った状態で臨んでいます。比べられているのは「一度抜いた状態」と「そこに入れた状態」であって、すでに毎日飲んでいる人がさらに増やしたときにどうなるかは、この試験からは分かりません。

差の大きさは、そのまま勝率ではありません。 反応時間で11〜18ミリ秒、命中数で60秒あたり約3発の違いです。この差が実際のランクマッチの勝敗にどう表れるかは、測られていません。

まとめ

この試験で確認されたのは、コーヒー1杯程度の量でも射撃課題の成績と反応時間が良くなること、そこから3倍に増やしても数字の上での上乗せは確認できないこと、この2つでした。

今日からこれだけ、と1つ選ぶなら、ランクに入る1時間前に飲む時刻を決めておくことです。量を増やすより先に、効く時間帯と大事な試合を重ねるほうが、順番として素直だと思います。

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GAME STEPは、上達を「才能や気合」ではなく「環境とルールの設計」の問題として扱う、eスポーツの個別コーチングサービスです。
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カフェインの量を増やすより飲む時刻を決めるほうが効きやすい、というのは、まさに環境の設計の話だと考えています。集中力や反応の速さを気合で引き上げようとするより、整えられる条件を先に整えるほうが再現性があります。
コンディションと成績の関係については、寝不足がゲームの成績に与える影響を調べた研究の記事も合わせてどうぞ。

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※本記事は紹介した研究で示された知見の解説であり、効果を保証するものではありません。実践案の効き方には個人差があります。カフェインの摂取量については、体質・持病・服薬状況によって適切な範囲が異なります。妊娠中・授乳中の方、持病のある方、薬を服用中の方は医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. Rogers, E. J., Trotter, M. G., Johnson, D., Desbrow, B., & King, N.(2024). “Caffeine improves the shooting performance and reaction time of first-person shooter esports players: a dose-response study” Frontiers in Sports and Active Living, 6:1437700. doi.org/10.3389/fspor.2024.1437700
  2. McLellan, T. M., Caldwell, J. A., & Lieberman, H. R.(2016). “A review of caffeine's effects on cognitive, physical and occupational performance” Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 71, 294–312. doi.org/10.1016/j.neubiorev.2016.09.001
  3. 農林水産省(2026). “カフェインの過剰摂取について” 農林水産省 消費・安全局(日本食品標準成分表2020年版・八訂ほかを引用). www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
WRITER
GAME STEP編集部

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